この記事を書いた人
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今回は連載記事の1回目。全3回に分けて採用の考え方を理解していきましょう!
- ①美容師の採用はなぜ難しい?人材不足の原因とサロンに合う解決方法の考え方を解説(今回)
- ②人材難の美容業界でサロンの魅力を美容師に伝える方法と書くべきことを徹底解説
- ③美容室の採用術|理想の人材を採用できる面接方法とは?【失敗を回避する方法も】
- 求人情報だけではサロンの良さが伝わらない
- 優秀な美容師を採用するのが難しい
- 求人の前準備がわからない
サロンにとって一番の悩みともいえる人材不足。「もっと売上を伸ばしたいけど人手が足りない」「多店舗展開したいけどスタッフが集まらない」など、人手不足の悩みはサロンに常に付きまといます。
ビジネスにおいて「単価×客数=売上」の式は絶対です。そのため、売上を伸ばすためには単価を上げるか客数を上げるしかありません。
サロンは小売業と比べても、スタッフ一人当たりの時間に対して売上が決まるビジネスです。また、美容師が一日に対応できるお客様の数には限りがあるため、サロンの売上は美容師の数に直結すると言えます。
今回は売上にも直結する、美容業界の貴重な人材を採用する方法を紹介します。
- サロンの魅力を求職者に伝える方法
- 求職者が求める待遇や条件の設定方法
- 効果的な求人方法とその準備
そもそもなぜ美容師の採用は難しいのか?


多くのサロンが人材不足で頭を抱える現代。原因の1つに採用の難しさが挙げられます。ではなぜサロンの採用は難しいのでしょうか。大きく分けて2つ紹介致します。
美容師の数が少ない
2023年に厚生労働省は発表した衛生行政報告によると、美容施設の数は2021年で約26万4千施設あります。対して美容師は、2019年の発表では免許を持っている人数が約135万人、美容業界に従事している人数が約54万2千人です。単純計算で1施設に2人ということになります。毎年新たに美容師免許を取得する人を考えても美容師の数は圧倒的に不足しているのです。
国家資格が必要
当然ですが美容師は国家資格が必要になります。一般企業と比べても、求人採用は非常に狭い市場になります。国家資格の取得には最低でも2年かかり、さらにそこからスタイリストとして活躍するのにはまた時間がかかります。そのため新たな人員の参入には高いハードルがあるのです。
基本的に売り手市場なのに労働環境が悪い
人材不足のため美容業界は基本的に売り手市場です。にもかかわらず美容業界の待遇は、他の業界と比べても待遇が良くない現状があります。最低でも国家資格の取得が必要にもかかわらず、いわゆる大企業と比べて給料が低い、休みが少ないなど、いわゆるブラックと呼ばれる場合が多いです。その結果離職率が上がり、最悪の場合では美容業界に嫌気がさし別業界に転職というケースもあります。
サロンの増加と独立志向が売り手市場に拍車をかける
2023年1月19日に厚生労働省が発表した衛生行政報告例によると、2021年には約26万4千施設あり、前年と比べて約6千施設増加しています。サロンが増加すればもちろん採用の競争が激化します。ではなぜ美容室が増加しているのか。大きく分けて2つの理由があります。
1つは美容師のキャリアにあります。一般企業に勤務する会社員では、入社してから出世するキャリアを望む場合が多いですが、美容師のキャリアではスタイリストとして成長した後に独立してサロンを経営するという場合が多いです。その背景には、チェーン展開しているサロンを除き、多くの美容室は個人経営が多く、社内での地位向上・待遇向上が望めないという理由が挙げられます。
また、似た理由として大手サロンよりも好待遇を出しづらい点があります。大手サロンは資金力から来る給料の良さや、福利厚生が整っている場合が多く、条件の面で敵わない個人経営のサロンに人材が回ってこないという点があります。
2つ目は労働環境。給料や休み以外にも、人間関係に疲れたという方が一定数いらっしゃいます。自分が理想の環境を目指し、一人サロンを開業する方もいるようです。
求人の前に必要な準備は?


では採用の難しい美容業界でどのように求人をすれば良いのでしょうか?採用に重要なのは「求人の前準備」です。どんなことにも共通しますが、準備が結果を左右します。必要な人材を採用するために、必要な準備を整えましょう。
店舗のコンセプトを洗い出す
店舗のコンセプトは、求人を出す際に打ち出すべきポイントです。美容師は接客業でありながら、個々の技量が問われる仕事です。たとえばナチュラルカラーが得意な美容師がいた場合、探すサロンはナチュラルなテイストを打ち出しているサロンになります。美容師が応募サロンを探す際のポイントであるコンセプトが不透明な場合、美容師にとって応募対象にならないことがあります。美容師に応募してもらうためにも、自店が打ち出すべきコンセプトを整理しておく必要があります。


コンセプトにマッチする人材の洗い出し
コンセプトを洗い出せたら、次はコンセプトにマッチする人材の洗い出しが必要になります。たとえ人材不足であろうと、採用する相手が誰でも良いというわけではありません。メインの客層が高齢者の白髪染めがメインのサロンで、ハイトーンカラーを得意としている美容師を採用してもミスマッチが起こり離職に繋がる場合があります。採用には費用がかかるため、離職されては大きなマイナスが出ます。ミスマッチから来る離職を避けるためにも、募集する人材は絞ることをお勧めします。
給料や休みなど、条件の設定
美容師がサロンを選ぶ大きなポイントの1つに、労働条件があります。どのくらいの時間働くのか、対価としていくら貰えるのかは、美容師以外の求職者も当然チェックするポイントです。もちろん条件が良いほうが多くの募集が来ます。しかし、サロンの懐事情にも限度があります。採用は売上を伸ばすためにも必要ですが、採用による人件費で経営を圧迫してしまっては元も子もありません。サロンが無理なく雇用し続けられる条件を提示しましょう。
当然ですが、提示した条件は必ず守るようにしてください。採用後に提示した条件と違う待遇をした場合、離職に直結します。
求人・採用にかける予算の決定
求人には費用が掛かります。求人にかかる代表的な費用として、広告費があります。有料の求人サイトなどに掲載する場合、人材サービス会社に依頼する場合には費用が掛かります。
求人広告には、採用の可否にかかわらず掲載費を払う先行投資型、採用した際に費用を払う成果報酬型、掲載や採用に費用が掛からない無料型などの料金体系があります。また、忘れがちですが採用にかかわる面接や、研修などの人件費も予算に入れるようにしましょう。
予算は使いたい広告・サービス、自店の資金面に合わせて予算を決めてください。
求人方法の考案
サロンの求人にはいくつかの方法があります。その中でも有効な方法を3つ紹介します。
求人サイト
求人方法のなかで最もポピュラーな方法である求人サイト。一番の魅力は、多くの求職者が利用している点です。求人サイトは就職・転職を考えている方が登録しているため、応募が来る確率は高いでしょう。
また、美容業界に特化した求人サイトもあり、採用対象となる「美容師」の閲覧が多く、より応募の確率が高くなります。
SNS
多くの方が利用しているSNSも求人に使用できます。特におすすめなSNSはInstagramです。Instagramは写真や動画の投稿がメインのため、多くの美容師が利用しています。サロンのアカウントで求人情報を投稿する、DM機能で直接フリーランス、美容学生などにアプローチするなどの方法で求人ができます。美容師からしても、Instagramの投稿から店舗の情報を見られるため、サロンの情報収集ができるという点でも有効なツールです。
また、無料で利用できるのも大きなポイントです。求人に費用をかけづらいサロンも気軽に使用できます。
ホームページ
ホームページはサロンの認知度を高めるだけで無く集客にも有効です。ホームページの一番の魅力は、他のツールと違い自分の載せたい情報を制限なく載せることができることです。求人の文章、サロンの写真、サロンのコンセプトなど、サロンの魅力を余すことなく伝えられます。
また、SNSにも言えることですが、求人情報と共にサロンの情報をそのまま確認できるため応募に繋がりやすいです。
美容師がサロンに求めているものは?
実際に求人を出す際に考慮すべき点として、美容師が何を求めているかが重要になります。美容師がサロンに求めるものは、大きく分けて2つあります。
やりがい
1つ目が、様々なスタイル・多くのお客様に施術を行うことで沢山の経験を積み、自分の美容師としての価値を高めたいというタイプです。やりがいを求めているため、様々なタイプのお客様を経験できるサロンを探すことが多いです。
人間関係や給料などの環境・条件
2つ目が、人間関係や給料などの環境・条件を求めているタイプです。ワークライフバランスを重視しているため、人間関係などの労働環境、給料や休日などの労働条件が良好なサロンを探すことが多いです。
採用できているサロンの特徴とは?


人材獲得が難しい中でも、必要な人材を獲得できているサロンがあります。採用が成功しているサロンの多くは再現性のある共通点があります。
高待遇
どの業界であれ、待遇の良い職場で働きたいと考えるのは当然です。他のサロンと比べて給料が良い、休みが多いなどの待遇の良さは、応募の数に直結します。しかし、いくら人材が必要といえど無理に待遇を良くしてしまうと、サロンの経営に支障をきたします。サロン経営に問題ない範囲で待遇を設定してください。
また、求人時に設定した待遇に嘘があった場合は、労働基準法違反になり罰則を受けることになります。絶対に嘘を書かないでください。
欲しい人材が明確
欲しい人材を絞ってしまうと、応募数も減ってしまうと考えてしまうかもしれません。しかし、人材を絞ることによって、採用確率の高い募集を掛けられるのです。細かく絞るほど、求人広告に出す写真や文言が対象の方向けに作成できるため、よりほしい人材に対してアピールできます。間口を広げターゲットを絞っていない、誰でも良いという求人ではアピールできる人材も少なく、結果的に応募数も減ってしまいます。
求人ページについて
求人のメインツールである求人ページ。採用ができているサロンには、求人ページにも共通点があります。
更新頻度を保つ
求人ページを作った後は放置してしまうサロンもありますが、本来は常に更新をする必要があります。更新されていないページを見て、まだ募集をしているのか?など不要な疑問を持たれてしまっては、応募に支障が出てしまいます。
写真のクオリティを高める
求人ページの写真は応募数に影響を与えます。特に、スタッフ同士の仲が良さそうな写真、楽しそうな写真は有効です。最近では「どのような人と働くのか」を重視する求職者が多くなっています。働き方が多様化している中で、サロンに就職するとなれば職場の人間関係は重要です。
求人以外での活動
求人は求人ページのみで完結するわけではありません。求職している美容師は、求人ページを見た後どんなサロンなのか情報収集をします。サロンのホットペッパービューティーやSNS、ホームページなどを確認し、どんなサロンなのかを知ってから応募という流れになるため、求人以外のサロン情報を整える必要があります。
登録している集客サイトなども整える
ホットペッパービューティーなどの集客サイトを整えることも求人に繋がります。サロン写真からサロンのコンセプトと雰囲気、スタイル写真からサロンで働いている方の技量など、得られる情報が多いため、応募を考えている求職者のほとんどがサロンページを見ています。集客用のサイトではありますが、求職者も見ている意識を持つと良いでしょう。
口コミ対応
サロンに寄せられた口コミへの対応は、お客様だけでなく美容師も見ています。口コミへの対応はお客様への対応であるため、文章のクオリティや量から働いている方のイメージが透けて見えます。対応が少ない、ほぼしていない場合、求人に対する情報が少なくなると言えます。


まとめ|重要なのはコンセプト!自店の欲しい人材を見極め、刺さる文言を押し出そう
採用で重要なのはやはりコンセプトです。コンセプトが固まらなければ、欲しい人材像も固まらず、採用方法もまとまりません。人手不足であろうと、採用する人材は誰でも良いというわけではありません。まずはコンセプトを洗い出すところから初めて見てはいかがでしょうか。
美容師が求めているのは大きく分けて「やりがい」と「条件」です。自店がどちらに適しているのかをスタッフの方にヒアリングして見極め、欲しい人材を得る文言などを打ち出し、採用を成功させてください。
美容師を採用する際の効果的な求人方法は何ですか?
求人サイトやSNSの活用、ホームページでの情報発信が効果的です。特に美容業界に特化した求人サイトやInstagramを活用すると良いでしょう。
求人情報に具体的に何を記載すれば良いですか?
給与、福利厚生、勤務時間、休日、キャリアアップの機会、サロンの雰囲気など、求職者が知りたい情報を具体的に記載しましょう。
サロンの雰囲気を伝えるためにはどうすれば良いですか?
スタッフの写真や動画を活用し、日常の風景やスタッフ同士の関係性を伝えることが効果的です。InstagramなどのSNSでの発信も有効です。
効果的な求人広告を作成するためのポイントは何ですか?
ターゲットとする求職者に合わせたメッセージやビジュアルを使用し、サロンの強みや魅力を明確に伝えることが重要です。定期的な更新も欠かせません。
求職者がサロンを選ぶ際に重視するポイントは何ですか?
求職者は、やりがいやキャリアアップの機会、労働条件や人間関係などを重視します。これらのポイントを求人情報で明確に伝えることが重要です。
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