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サロン経営は技術力だけでは成功しません。材料やサービスメニュー、取引先の選定などの経営判断が必要です。特に経費削減は常に検討すべきテーマ。しかし節約を追求しすぎてサービスの質が低下したり、お客様の信頼を損なうのは避けたいところです。
- 材料費が高くて利益が出にくい
- 安価な材料に変更したいが品質が心配
- 効果的な経費削減方法を知りたい
そこで今回は、一人サロンの材料費を節約する方法を徹底解説します。具体的な節約策やその利点・欠点、さらにはサロン経営者からのよくある質問にも答えていきます。
- 材料費削減の具体的な方法
- 安価な材料への切り替え時の注意点
- ディーラーの比較検討によるコスト削減
材料費の考え方


材料費はサロンの利益をより多くするためにも、適正に管理しましょう。お客様一人あたりの施術で消費される材料費を細かく計算し、価格設定や材料の発注を行う必要があります。
現代の美容業界には多様なサービスと共に、様々な種類の材料が存在します。オーガニック系の高品質な材料を使用するサロンは、材料費が高くなりがちです。しかしブランドの良さをお客様に理解してもらい、適切な価格を設定することで利益を高められる場合もあります。
また、材料ひとつとっても品質や使い勝手に違いがあります。たとえば、ヘアカラーの材料にも様々なブランドや種類があるため、お客様目線でコストパフォーマンスの良い商材を見極めましょう。
さらに、サロン経営における材料費の考え方には、継続的な市場の調査も欠かせません。新しい技術や材料が次々と登場する現代では、新しい材料の導入を検討することで、施術の質を向上させるとともに、材料費の削減を図ることも可能です。
安い材料に変える


サロンの経営において、利益を追求する上で最も簡単に考えられる方法が、材料費の削減です。中でも安い材料に変えると、即コストダウンを実現できます。
メリット|コスト削減
安価な材料を選ぶことで、即時の経費削減ができます。例えば、ヘアカラーの材料が800円として、500円の同等品に変えると、1回の施術あたり300円のコストを削減できます。月に100人カラーメニューを提供すると考えると、月間で30,000円の削減です。年間で30万円も儲かっていると考えると軽めのボーナスです。
近年では企業努力により、安くても質の良い薬剤が増加しています。カラーの色合いがほとんど同じ場合、安い薬剤を選ぶのは当然ですよね。使い慣れた薬剤を使い続けたいのは分かりますが、企業として店舗展開などお店を大きくしていきたい場合は変更を検討していきましょう。
また薬剤のみでなく器材や備品も同様です。日常で使用するイヤーキャップやゴム手袋、ティッシュやトイレットペッパー等の消耗品も現状より安いものを使うだけで経費削減になります。
デメリット|満足度・ブランド力低下
価格が低い材料は、高価格な材料と比べ品質が劣りがち。品質の変化はお客様の満足度に直結します。安価なシャンプーを使用した場合、高品質なシャンプーに慣れていたお客様が、髪の手触りや香りに違和感を感じることも。同じクオリティの材料を探す場合、探す手間や品質を確かめるためのテストなど時間がかかってしまいます。
また、材料に関するブランディングができなくなります。高品質な薬剤や器材は、サロンのブランディングのため、前面に打ち出せます。しかし、安いものを使用している場合では広告として価値が下がってしまいますよね。サロンのブランドイメージは非常にデリケートです。材料の変更でサロンの品質や価値観に対する信頼が失われることも。特に、高級感や上質さを売りにしているサロンでは、材料の変更がブランドイメージを損なう恐れがあります。


メニューの予約比率を変える


「メニューの予約比率を変える」という材料費の削減方法があります。打ち出す施術を変更することで予約数を調整する方法です。
メリット|材料調達の効率化
サロンの施術には、材料費の差があります。ブリーチやカラーに比べ、パーマにかかる材料費はおよそ1/3、カットに関しては材料費は0円です。比較的材料費のかからないメニューを打ち出すと、施術1回にかかる材料費を削減できます。
特定のメニューを重点的に提供することで、施術に必要な材料を大量に仕入れることができます。大量発注による単価の削減や、仕入れ先との取引を通じての割引が得られる場合もあります。
また一人サロンの場合、一つのメニューを強化することで、メニューに特化した評価を得やすくなります。例えば、ダメージ修復を得意とするサロンが特殊なトリートメントを提供することで、お客様から「髪質が気になったらこのサロンへ行こう」という評価やリピート率の向上につながります。最近ではボブ専門やメンズ限定なども目立つようになりました。
デメリット|トレンドの変化・工数
ある特定のメニューが強くなると、他のメニューに対する需要や技術の維持が難しくなります。美容業界のトレンドは移り変わりが早く、主流となる薬剤なども変化します。使用感はそれぞれ違うため、一度取り残されるとトレンドを追いなおすために時間と労力が必要になります。
メニューの予約比率を変えると、客層にも変化が生じます。カラーメニューの打ち出しを減らすことで、カラーを望んでいるお客様の数が減り、単価の安いカットなどのメニューの量が増えます。結果的に薄利多売のサロンになりかねません。
また、予約比率を変更するには時間と手間がかかります。サロンが予約比率を変えたいと考えたとしても、予約をするのはお客様です。ホットペッパービューティーなど予約サイトのページ変更で予約動線を整えない限り、比率は変わりません。ページの変更にかかる手間と、お客様に浸透するまでの時間は絶対にかかってしまいます。
ディーラーを切り替える・比較検討する


サロン経営における材料費の節約策で、見落とされがちなのが「ディーラーや取引先の変更」です。長年にわたって良好な関係を築いてきたディーラーがいる場合、繋がりを大切にしたいと考えるのは当然のこと。しかし、新しい取引先との関係構築により、より良い取引条件や新たな商材の発見につながる場合もあります。
メリット|価格低減・新商材発掘
美容材料のディーラーは多数あります。複数のディーラー間で比較を行うことで、同じ品質の商品をより安く、あるいはより良い条件で取り扱えるディーラーを見つけられます。たとえば1つの材料単価が20円下がるだけで、年間を通して考えると大幅な経費削減になります。
また、新しいディーラーとの繋がりは、新たな商材や技術を発見するチャンスでもあります。特に海外のトレンドを取り入れた商品や、日本未導入の商品など、他サロンとの差別化ができる新しい商材を取り扱える場合も。トレンドの移り変わりが早い美容業界において、最新の商材は強力な集客ポイントになります。
デメリット|信頼のダメージ・初期費用
新しいディーラーとの取引を開始する場合、信頼関係を築くまでに時間がかかる場合があります。長年取引してきたディーラーとの関係が深まっている場合、信頼関係を失うリスクも。出戻りできるパターンもありますが、大口の発注が難しい一人サロンでは、信頼関係の修復に時間がかかります。
また、新しいディーラーと取引を開始する際は、新しい商品の試験的な導入や、取り扱いの研修など、初期コストが発生する可能性があります。ディーラー切り替えの決断をする際は、初期投資に対して将来的にどれだけのリターンをもたらすか検討する必要があります。
まとめ
美容室経営における材料費の節約は、利益率の向上や経営の安定化に役立ちます。可能であれば安い材料に切り替え、その際には複数社を比較検討することをおすすめします。品質とコストのバランスを追求し、長期的な経営の成功につながることを祈っています。
よくある質問
安い材料に変えるとお客様からのクレームを受けませんか?
材料の変更はお客様に伝えた方が良いでしょう。リピートで来店されたお客様に変更を伝えず施術をしてしまうとクレームに繋がる場合も。ただ、薬剤を変更しても同じクオリティを出せて、アレルギー等の問題もなければわざわざ安い商材に変更したことをお客様に伝えるメリットはないように思えます。
メニューの予約率を変えることで、売上が下がることはありますか?
売上への影響は複数の要素に左右されます。高単価でも材料費の高い施術が減ると、売上が下がるリスクもあります。しかし時間単価で考えた場合、カットのように低単価で回転の早い施術で材料費もほとんどかからない施術が増えると、同程度の売り上げを出すことができます。また、売上高が下がっても結果的に利益率が上がる場合もあるため、一概にはマイナスと言えません。自サロンに合った方針を選んでいただければと思います。
新しいディーラーとの取引を開始する際の注意点は?
新しいディーラーとの取引を開始する際には、取引条件や契約内容をしっかりと確認してください。また、信頼関係を築くためのコミュニケーションも必要です。また、現在取引をしているディーラーとの信頼関係も考慮する必要があります。
一人サロンではないのですが、節約策の上でスタッフのモチベーションが下がることは?
節約施策がサービスの品質低下やスタッフの労働環境の悪化に繋がる場合、モチベーションの低下が考えられます。美容師は技術職です。使用する薬剤や器材にもこだわりがある場合があります。なるべくスタッフの方と話し合って決めるようにしてください。


