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スタッフの教育はサロンの経営のカギ。教育の必要性から教育が難しい理由、効果的な教育方法まで、本記事では美容室における教育の全体像を掘り下げます。
- スタッフの成長が遅い
- 離職率が高い
- 教育の方法がわからない
サロン経営者や現役美容師に向けて、教育の具体的なアプローチとその実践的なポイントを解説します。新人の成長促進、人材の定着、ベテランのスキル維持を目指しましょう。
- 美容室で教育が必要な理由
- 教育が難しい理由とその対策
- 効果的な教育方法とその実践方法
改めてなぜ教育が必要なのか?


サロンの成功は、スタッフの教育にかかっています。新人の成長から人材定着、ベテランのスキル維持まで、改めて教育がなぜ必要なのかを深掘りします。
新人の成長
サロンの中で最も教育すべきは、新入社員です。新人教育の目的は「戦力化」。つまり、教育をしなければいつまでも戦力にはなりえません。美容師がほったらかしで育つことはありません。
スタイリストとして活躍するためには、学校では学べない薬剤の調合、接客方法など、様々なことを覚えなければなりません。スタッフがスタイリストになれば、サロンにお金生み出せるほか、他のスタッフの負担も軽減できます。早期に育成し、戦力にするためには、しっかりとした教育が必要になります。
人材定着による機会損失の低減
教育は人材の定着にも大きく関係します。教育を受けたスタッフは、仕事に対する満足度が高まる傾向にあります。これは、スタッフが自分のスキル向上を実感し、職場に対する帰属意識を強めるためです。
反対に、教育が疎かになってしまうと、スタッフは「サロンに興味を持たれていない」「何も学べず成長もスタイリストデビューもできない」と考え、早期離職に繋がります。
スタッフを一人採用するのには、数十万円以上という多大なコストがかかります。せっかく採用費をかけても、すぐに離職されてしまうと、採用にかかったコストは全て無駄になってしまいます。
また、離職による人手不足が原因で売上機会の損失が起こりえます。予約したいお客様はいるのに、人手が足りなくて予約を取れないのはもったいないですよね。
ベテランの技術再確認
ベテラン美容師に対しても教育は重要です。人に自身の技術を伝えるためには、感覚の言語化を行う必要があります。技術や感覚を言語化し、新人に伝えることで、ベテランの美容師が自身の技術を再確認できます。
また、長年の経験を持つ美容師でも、新しい技術やトレンドの学習は欠かせません。技術の見直しや最新トレンドの習得は、ベテラン美容師のスキルを維持し、さらに高めるために役立ちます。新人に教えると同時に、ベテランの学習機会にもなります。
なぜ教育が難しいのか


美容室における教育は多くの課題を抱えています。技術だけでなく、人間関係やコミュニケーションも含め、教育には様々な困難が存在します。
感覚によるものが多い
美容師は技術職であるため、感覚的な要素が大きく関わっています。たとえば、髪の質感やカットの感触など、直接的な経験を通じてしか学べない要素が多いのです。こうした特性は、教育を複雑にし、成長の進行を困難にします。
教育の目的は、教わる側が内容を理解して成長することです。教える側が感覚で行っている技術を自身の頭で理解し、言語化することでようやく教わる側に伝わります。
教わる側と教える側で意識にギャップが生じる
教育における大きな課題の一つは、教える側と教わる側の間に存在するギャップです。当たり前の話ですが、教える側と教わる側は別の人間です。年代やライフワークバランスの考え方、技術に対する理解度など、人によって様々です。
教える側が持つ知識や経験、教え方が、教わる側の理解度や学習スタイルと必ずしも一致しないことがあります。「自分はできるのに何故できないのか」を共有し、個々の学習スタイルや進捗状況を理解し、それに合わせた指導が必要になります。
ハラスメントへの理解不足
美容室における教育において、ハラスメントへの理解不足も一つの課題です。教育や指導の過程での「勤務時間外に練習を強制する」「人格否定」などのパワーハラスメントは教育の質を低下させるだけでなく、従業員の士気や職場環境にも悪影響を与えます。
またハラスメントへの理解不足は、教える側のみでなく、教わる側にも共通します。ハラスメントを正しく理解しないと、必要な注意や指導もハラスメントと捉えられ、適切な指導が行えなくなる場合があります。ハラスメントはサロンで働く全員が正しく理解できるようにしましょう。筆者も、若いアシスタントの方や社員さんと考えが乖離することが良くありますが、そこは現代、今の時代を担っていく子たちに感覚を合わせてあげることにしています。
職人気質
美容師の中には、職人気質を持つ人も少なくありません。このような職人気質の人々は、自身の技術や方法に強い自負を持ち、他人に伝えることが難しい場合があります。感覚や根性論での指導は、言語化されたマニュアルと比べ、教わる側の理解度に差が出やすく、非効率な教育になってしまいがちです。
サロンでは、こうした職人気質を持つ美容師の技術や知識を、他のスタッフに効果的に伝えることが重要な課題となります。
教育のポイント


教育の成功には、いくつかの重要なポイントがあります。これらのポイントを押さえることで、従業員のスキル向上と職場環境の改善に大きく貢献できます。
マニュアルを作る
まずは教育の仕組みづくりとして、教育マニュアルを作成しましょう。一人一人に合わせた教育は、固められた土台の上に成り立ちます。土台になりえるのは、技術や接客を言語化し可視化したマニュアルになります。
マニュアル作成には時間が掛かりますが、一度作成すると多少の変更のみで使い続けられます。また、教わる側は何度でも見直すことが出来るため、自己学習にも役立ちます。少しづつでも作るといいでしょう。若い世代の美容師さんは可視化するだけで安心感を得ることもありますから、すべての基準やマニュアルを見える化していくといいでしょう。
言語化する
美容技術の教育においては、技術や感覚を言語化することが重要です。感覚に頼る部分が多い美容業界において、具体的な言葉での表現は、教わる側の理解を深めるのに役立ちます。
たとえば、カットの手法を「角度」「力の加え方」「コームの使い方」といった具体的な言葉で細かな点まで説明することで、学習者はより容易に技術を習得できます。教育の際には、抽象的な表現を避け、5W1Hなど可能な限り具体的な言葉を使うようにしましょう。
教育する情報を統一する
教育内容の統一も重要です。教育者ごとに異なる方法や情報を出すと、「昨日はよかったのに今日は注意された」などの混乱を招き、学習者に不満が溜まるため、学習効果を低下や早期離職の原因になりえます。
教育者の全員が教育する技術や知識を統一し、日ごとに異なるスタッフが教育する場合でも、同じ基準で学べるようにしましょう。これにより、日ごとに教わる技術のバラつきを減らし、教育の質を均一に保つことができます。
「見て覚えろ」はNG
「見て覚えろ」というスタンスは、効果的な教育には適していません。美容技術は複雑であり、単に見るだけでは理解が難しい場合が多いです。教育においては、実際に手を動かし、実践を通じて学ぶことが重要です。
理論と実践の組み合わせにより、従業員は技術をより深く理解し、自分のものとすることができます。始めのうちは一緒に考えながらトライ&エラーの仕方まで教えてあげましょう。
ちなみに筆者は見て覚えることが今もありますが、人に教える際は具体的に言語化して伝えます。
「やってみせ言って聞かせてさせて見て褒めてやらねば人は動かじ」
旧日本海軍の名将、山本五十六が遺した名言は、教育の理想的な進め方を示しています。まず、教える側が実際に手本として技術を示し(やってみせ)、その技術について、意義や重要性などを説明する(言って聞かせ)。次に、学習者に実際に試してもらい成功体験を積ませ(させて見せ)最後に、良い点を認めて褒めることで、学習者のモチベーションを高める(褒めて)ことが含まれています。
この方法は、サロンの教育においても有効であり、従業員の技術向上と自信の育成に役立ちます。
まとめ
サロンの教育は、単に技術や知識の伝授以上の意義を持ちます。スタッフ一人ひとりの成長は、美容室全体のサービス向上と直結し、結果としてお客様の満足度を高めることにつながります。
教育が難しいと感じられるのは、個々の学習スタイルや感覚的な技術の伝授、人間関係の構築にある複雑さからです。しかし、言語化、統一された教育内容、実践重視のアプローチを取り入れることで、これらの課題は克服できます。
サロンの持続的な成長と発展のために、教育は不可欠な役割を担っていることを忘れずに、日々の業務に取り組んでいただければ幸いです。
よくある質問
教育プログラムを作成する際に、どのような要素を最優先に考慮すべきですか?
教育プログラム作成時には、現在のスキルレベルと必要な技術・知識のギャップを特定することが最優先です。その上で、実践的なスキルトレーニングと理論的な知識のバランスを考え、従業員の学習スタイルに合わせてプログラムをカスタマイズすることが重要です。
小規模な美容室でも効果的な教育システムを構築することは可能ですか?
はい、可能です。小規模な美容室でも、個々の従業員のニーズに合わせた個別指導や、定期的な技術練習の時間を設けることで、効果的な教育システムを構築できます。また、外部のセミナーやオンラインコースの活用も有効です。
教育プログラムの評価はどのように行うべきですか?
教育プログラムの評価には、定期的な技術テスト、お客様からのフィードバック、そしてスタッフ自身の自己評価を含めると良いでしょう。また、教育プログラムの進行に応じて、必要に応じて内容を調整し、継続的な改善を図ることが重要です。
教育プログラムに外部講師を招くメリットは何ですか?
外部講師を招く最大のメリットは、新鮮な視点と最新の業界トレンドを学べることです。また、従業員が異なる指導スタイルや技術に触れることで、学習のモチベーションが向上し、多様な技術や知識を吸収する機会が増えます。
教育プログラムのコストを抑える方法はありますか?
教育プログラムのコストを抑えるためには、内部リソースを最大限活用することが鍵となります。例えば、ベテラン従業員に新人のメンター役を担わせる、オンラインリソースや無料の教育資料を利用するなどの方法があります。また、小規模なワークショップやグループ練習を定期的に行うことで、外部講師に依存することなく教育コストを削減できます。




