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サロン経営者および現役美容師の皆様にとって、雇用保険はただの義務ではありません。働く環境を守り、職場の安定と従業員の福祉を高めるための重要な保険です。
- 雇用保険の加入が必要かどうか分からない
- 手続きの方法がわからず困っている
- 保険料の計算方法を知りたい
今回の記事では雇用保険の基本から、加入対象者、保険料の計算方法、加入手続きまで、必要な情報を網羅的に解説します。
- 雇用保険の目的と基本的な仕組み
- 雇用保険の対象者と条件
- 加入手続きの具体的な方法と注意点
そもそも雇用保険とは?


雇用保険の目的
雇用保険制度は、働く人々が失業した場合に、一定期間の生活を支えるとともに、新たな就職活動をサポートするために設けられています。また、育児、介護、定年後再雇用などによって収入が減少する場合の生活維持を支援するのも雇用保険の大きな目的です。
雇用保険は、「失業等給付」「求職者支援事業」「育児休業給付」「二事業」の4つからなっています。
失業による収入の途絶えを一時的に補う失業給付により、失業者が次の職を探す間の生活を安定させます。また、職業訓練などの再就職支援サービスもあり、スキルアップやキャリア形成を支援することも目的としています。
雇用保険は、働く人々の安定した生活と職業生活の継続を支えるための重要な役割を果たしています。
社会保険との違いは?
社会保険は「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」「労災保険」「雇用保険」の5つを総称したものです。つまり雇用保険は広義の意味で社会保険の1つです。
社会保険は病気や怪我、介護、失業、労働災害などのリスクに対応した公的保険制度であり、中でも雇用保険は、失業や休業に対する支援を目的とされています。
また、社会保険を2つに分けると、「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」を「社会保険」と呼び、「雇用保険」「労災保険」を「労働保険」と呼びます。
つまり社会保険や労働保険と呼ばれる中に雇用保険が含まれているということになります。
雇用保険の対象者


対象となる条件
雇用保険の対象者となるための条件は、事業所の規模や労働者の国籍に関わらず、主に労働時間と雇用期間によって定められています。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
- 31日以上の雇用見込みがあること
また、31日以上の雇用継続が明確である場合を除き、雇用契約の期間が31日未満であっても、年間を通じて通算して31日以上働くことが予定されている場合も対象となります。
具体的には、「雇用契約に更新する場合がある旨の規定があり、31日未満での雇止めの明示がないとき」や「雇用契約に更新規定はないが、同様の雇用契約により雇用された労働者が31日以上雇用された実績があるとき」などが対象となります。
出典 「雇用保険に加入していますか~労働者の皆様へ~」厚生労働省
パートタイム・アルバイトは?
パートタイムやアルバイト労働者も、雇用形態に関わらず条件を満たせば雇用保険の対象者となります。
気を付けるポイントは、複数の職場でパートタイム・アルバイトとして働いている場合です。基本的に1つの事業所で加入条件を満たしている場合に加入対象となります。
例えば、2つの事業所で1週間に12時間ずつ働いている場合、合計で20時間を超過しますが加入対象にはなりません。ただし、65歳以上の場合は2か所以上の事業所で20時間を超えて働く場合、本人の申し出があれば加入対象となります。
加入対象とならない場合
雇用保険の加入対象外となる主な場合として、法人の代表者や家族経営の事業で働く家族労働者、学生としての身分が主であり学業と両立しているアルバイト学生などが該当します。
また、サロンで多い業務委託のフリーランス美容師も、サロンとの雇用関係が無く、個人事業主扱いとなるため雇用保険の加入対象とはなりません。
保険料の計算


雇用保険料は、労働者と事業主の双方が負担する共同負担制となっています。保険料率は、労働者の賃金総額に基づいて計算され、定期的に見直されることがあります
保険料の計算式
保険料の計算式は以下の通りです。
給与額×労働者負担率=スタッフが負担する額
雇用保険は労働者と事業主の双方が負担し、負担率は定期的に見直されます。また、サロンの負担額を計算する場合は、労働者負担率を事業主負担率に置き換えると計算できます。
雇用保険料率
雇用保険料率は「一般の事業」「農林水産・清酒製造の事業」「建設の事業」の3区分で分けられており、それぞれ料率が変わります。サロンの場合「一般の事業」に分類されます。


保険料の計算例
仮にスタッフの基本給が20万円、残業代が5万円、通勤手当が1万3千円とします。計算する給与には各種手当も含まれるため「26万3千×6÷1,000=1,578円」となります。サロンの負担額を計算したい場合は、式の6を9.5に置き換えることで求められます。
また、雇用保険料を計算した金額に小数点が出た場合は、源泉控除する場合と現金で徴収する場合で扱いが異なります。
源泉控除する場合は「50銭以下は切り捨て、50銭1厘以上は繰り上げ」となり、現金で徴収する場合は「50銭未満は切り捨て、50銭以上は繰り上げ」となります。単純な四捨五入とは違うため注意しましょう。
雇用保険の加入手続き


雇用保険への加入手続きは、新しい従業員を雇い入れる場合に必要となります。それぞれ期限があるため、遅れずに手続きしましょう。
労働保険関係成立届と労働保険概算保険料申告書、雇用保険適用事業所設置届を提出
初めて雇用保険の対象となるスタッフを雇う場合は、雇い入れた次の日から10日以内に、管轄の労働基準監督署に「労働保険関係成立届」を届け出る必要があります。
保険関係が成立した次の日から50日以内に「労働保険概算保険料申告書」をこちらも管轄の労働基準監督署に提出し、当該年度分の保険料を概算保険料として申告、納付しなければなりません。
雇用保険適用事業所設置届と雇用保険被保険者資格取得届を提出
雇用保険の適用事業所となった場合、適用事業所となった次の日から10日以内に「雇用保険適用事業所設置届」を提出する必要があります。雇用保険適用事業所設置届は労働基準監督署ではなく、管轄のハローワークとなります。
「雇用保険被保険者資格取得届」は雇用保険の対象となるスタッフを雇い入れた次の月の10日までにハローワークに提出する必要があります。こちらの提出は「雇用保険適用事業所設置届」を提出する際に一緒に提出できます。
また、ハローワークに提出する際に、労働基準監督署に提出した「労働保険関係成立届」の控えと法人登記謄本が必要になりますので忘れないようにしましょう。
提出書類の関係上、提出の際には労働基準監督署の後にハローワークに提出するほうがスムーズに手続きを行えます。
雇用保険被保険者資格取得届は人を雇う度に提出が必要
「雇用保険被保険者資格取得届」は新たに保険の対象となるスタッフを雇い入れるたびに提出が必要になります。手続きは雇い入れた次の月の10日までとなります。
各手続きは必ず行う必要がある義務となっています。怠った場合には罰則もあります。罰則は直ちに科せられるわけではありませんが、スタッフの方が安心して働くために絶対必要な手続きです。期限内に手続きを行うようにしましょう。
まとめ
この記事では、雇用保険の概要から具体的な加入手続きに至るまでを詳しくご紹介しました。
雇用保険は、サロンを含む全ての事業所にとって、スタッフを失業から守り、再就職の橋渡しをするための不可欠な制度です。
加入手続きは提出する書類も多く、提出先も2か所あるため面倒に感じるかもしれませんが、事業を運営する方の義務です。必ず手続きを行ってください。
この記事が、雇用保険をより深く理解し活用する一助となれば幸いです。
よくある質問
雇用保険の失業給付を受けるための条件は何ですか?
失業給付を受けるためには、雇用保険に加入していた期間が一定期間以上あること、就職活動をしていることなどの条件があります。具体的な条件はハローワークで確認してください。
雇用保険料の事業主負担分と労働者負担分の割合はどのように決まっていますか?
保険料の割合は、失業手当を受給している方などを参考に決められています。割合は変動することがあるため、最新の情報は厚生労働省のウェブサイトで確認してください。
雇用保険に加入している期間中に病気で働けなくなった場合、支援はありますか?
雇用保険の傷病手当は、ハローワークで求職中にケガや病気で15日以上求職活動ができない場合に支給されるため、失業中の方が支給対象となります。雇用されている方がケガや病気で働けなくなった場合には、健康保険の傷病手当金の対象となります。
自己都合退職後、すぐに失業給付を受けられますか?
自己都合退職の場合、失業給付を受ける前に一定の待機期間が設けられています。この期間を経た後、就職活動を行っていることを証明することで給付を受けることが可能です。
雇用保険の給付金額はどのように計算されますか?
失業給付金の額は、雇用保険に加入していた期間と、その期間中の給与額に基づいて計算されます。給付額は個人の給与水準や加入期間によって異なるため、具体的な計算方法はハローワークでの相談が推奨されます。




