美容室は都心にないと若いお客様が来ない?いいえ、そんなことはありません。今回紹介する美容室は駅から徒歩30分以上かかる閑静な住宅街にありながらも、「東京に出なくてもおしゃれなヘアスタイルに変身できる」と地域の若いお客様に愛される人気店です。
そのお店とは千葉県君津市のエルズカインド。サービスはデザイン性の高いカットとカラーが特徴で、スタッフのスタイリストデビューも早いと聞きます。今回はオーナーの織本敬太さんに仕事術を伺いました。
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エルズカインド 織本 敬太さん

役職 | オーナー |
美容師歴 | 13年 |
得意 | カット・カラー |
映画から仕事のインスピレーションを受ける
学生時代から大の映画好きだという織本さん。流行の先端を追い、高いデザイン性を保つことに映画が役立っているといいます。ちょうどインタビュー中も映画「パルプ・フィクション」のシャツを着ていました。
ーー織本さんは映画がお好きなんですね。
織本さん はい。映画好きになったきっかけはターミネーター2です。最初はエンタメ映画のストーリーを追うような鑑賞をしていたのですが、映画自体が面白いと思うようになってからは、近所のビデオ屋さんでディズニーなどのファンタジーからホラー、ドキュメンタリーまで幅広いジャンルの映画を観るようになりました。
ーー織本さんは映画をどのように楽しんでいるのですか?
織本さん ストーリーはもちろん、世界観やセットなど、映画には注目すべきポイントがたくさんあります。たとえば1980年代の映画には当時のクルマや洋服、ヘアスタイルが反映されていますよね。映画は特にお金をかけて「時代」を再現している作品だと思います。
だから映画にはさまざまな見かたがあるんです。カメラワークや色使いなど、ストーリー以外のところにも学びが散りばめられています。最近はNetflixの「地面師たち」の配色などに感銘を受けました。


ーーなるほど、映画はサロンワークにどう活きてくるのでしょうか?
織本さん いろいろな角度から一つの物事を見ることに慣れると、仕事のやり方が変わります。新しい技術が出てきたとしましょう。その技術は練習すれば身につけられますが、センスは簡単に身につきません。
センスを磨くためにはセンスのいいものをたくさん見て、センスのいい人に会う経験が大切です。その手段として、時間とお金をかけて世相やトレンドを表現している映画が役に立ちます。
映画以外にも、私は腕のいい美容師に指導を受けに行ったり、実際に自分の髪を切ってもらいに行ったりしますね。もちろん従業員に「個人の時間を使って誰かに会いに行け」と言うことはありませんが、自分が得た気づきや学びは常に従業員に伝えるようにしています。
センスを磨き、人を育てるのが美容室オーナーの仕事

ーー得た学びを従業員に伝えるというお話が出ました。教育に関してこだわっていることを教えてください。
織本さん 時代的に「伝えられない上司」が増えてきていると思います。しかし、美容室の商品は美容師。だから私は美容室経営者の仕事とは、美容師を育てることだと思っています。エルズカインドはカットとカラーによる「チェンジ感」を売りにしているので、ブリーチを使ったカリキュラムも組んでいます。
全般としては一人ひとりの強みを伸ばすことはもちろん、未熟な部分を補うことで質の高い美容師が在籍しているサロンを作れると考えて教育には当たっています。そのためにグループ内でヘアショーなども開催し、従業員のスキルアップを図っています。
ーーヘアショーにはどのような効果がありましたか?
織本さん ヘアショーは採用活動の一部という位置付けで行っていましたが、同時にスタッフがクリエイティブに仕事をできることも狙っていました。実際にヘアショーを開催してみると、ショーの前後で仕上げのスピードが変わりました。
限られた時間の中で最高のスタイルを作り上げるという課題に取り組んだことで、営業時間中にカットとカラーを施したお客様にも、最高のパフォーマンスをする意識が芽生えていると思います。
ーースタッフの方には今後どのように成長してほしいですか?
織本さん スタッフには技術やセンスを高めながら、今後は個人にもっとお客様がついてほしいと思っています。目標は1〜2年後の新規出店です。今ホットペッパービューティーで集客をしているのも、スタッフにお客様をつけるためです。
S&Tにホットペッパーの集客を手伝ってもらい続けているので、早く次の店舗でスタッフを独立させてあげたいです。